成育医療

最近、成育医療という言葉を耳にしましたが、どういう医療なのか教えて下さい?

成育医療とは従来の小児医療の枠を超えた、人のライフサイクルに沿った継続的で総合的な新しい医療概念です。
人は生を受けた後、乳幼児期、学童期、思春期を経て成人になるわけですが、それぞれの時期に特有の医療的問題があり、またそれにともなって心理社会的問題も生じてきます。
今までの小児医療は小児期に発生した病気を小児科医が治すという比較的単純な考え方で行われてきました。
大学病院の小児科や小児病院で難病の治療と研究に取り組んできた結果、以前は助からなかった子どもたちの多くが治るようになりました。
例えば小児白血病もその約70%は治るようになり、多くの元患者たちが病気を克服して成人しています。
しかし、一部の患者は治療による後遺症に悩み、進学や就職の時差別されこともあります。
また、結婚しても健康な子どもを持つことができるかという不安もあります。
このような複雑な問題を抱えた患者には小児期から成人期までの継続的な医療が必要であり、体の問題のみならず心の問題への対応も欠かせません。
そのためには小児科医だけでなく内科、産婦人科、精神科などあらゆる診療科の医師が協力して、真に患者の立場に立った医療を提供してゆくことが必要です。
このような医療が成育医療であり、昨年4月には日本で初めての成育医療センターが東京にオープンしました。

(平成15年1月1日)